確率の謎・ベイズの定理 - 2名のうち1名が女の子とわかったとき、2名とも女の子の確率? -
ベイズの定理??
今日は、ベイズの定理について。ベイズの定理を聞いたことのない人もいるかもしれませんので、まずはベイズの定理から説明します。ベイズの定理は数学的には次のように書き表されます。
数式をみても、さっぱり意味の分からない人もいらっしゃるかと思うので、具体例で詳しく1つ1つ説明していきます。
ベイズの定理の主張
まず、ベイズの定理って何を主張しているのかを説明します。
具体的な例で説明しましょう。
「隣の家に2人の子供がいる事が解っています、ある日、隣の子供のうち1人が女の子である事が解りました。隣家のお母さんに「女のお子さんはいますか?」と質問した所「はい」と答えました。このとき、もう1人の子供も女の子である確率はいくつでしょうか?※なお、男女比は1:1とする。」という問題を考えましょう。
この問題、普通に考えれば1/2なんですけど、これ違うんです。事前に「一人が女の子」という情報が与えられているので、考え方としては、「一人が女の子であるとわかったもとでの、もう一人の女の子」である確率を考えることになります。
全ての事象は次の4つです。
(女・女)、(男・女)、(女・男)、(男・男)
で、今「一人が女の子」という情報が与えられているので
(女・女)、(男・女)、(女・男)
が起こりうる全ての事象となります。すると、結果的に答えは、1/3となるわけです。
ベイズの定理的に解釈すると...
これは、Aという情報が与えられたもとでの、Bが起こる確率を意味します。つまり、先ほどの例でいえば、「A:2名のうち少なくとも1名が女の子」という情報を意味します。このもとで、事象B「2名とも女の子」を計算しています。そして、P(A)というのはAが起こる確率です。
ちなみに、P(A) = 3/4 です(2名とも男の子ではない限り、、、なので)。次に、P(A かつ B) = 1/4(2名とも女の子の確率)です。よって、式としては計算すると、1/3になりますね。
別の問題
「皆さんが街角にいて、目の前を3人の男性、1人の女性が通り過ぎたとします。この時、次に通る人は男性ですか?女性ですか?」というのを当てるゲームをしましょう。
普通に考えれば、次が男性である確率は1/2, 女性である確率がと考えるのが1/2です。いわゆる習った確率の「普通」です。しかしながら、次の人の前に「3名」の男性、「1名」の女性が通っているという事実があります。この情報を捨ててしまっていいのでしょうか?
ベイズはこの情報を利用します。「男性が3名」「女性が1名」ということは、次に男性が通る確率は、1/2よりも少し高いのではないかと予測します。つまり、経験を用いて「私たちの知っている1/2という何も知らない状態の確率」を書き換えるのです。
(注:間違えても3名の男性、1名女性が通ったのだから、次は足りてない女性の確率が高そうだ!なんて考えないでください。こう考えてしまった人は、ギャンブルに負けやすいタイプです。「次こそ、次こそ」という悪い推測を信じてしまうタイプなので気をつけましょう)
はい、続けます。
つまり、ベイズの定理を用いると「男性が通る確率は、1/2ではなく、次に男性が通る確率の方が高い」という結果が導かれます。そういう意味で「経験」を反映した確率を得ることができる。これがベイズの定理です。
不可解ですか?不可解ですよね。でも、これがベイズのルールです。さいころを10回振って「6の目」が4回出た場合は、ベイズの定理に基づけば、次に6が出る確率は1/6よりも大きくなると考えます。これは、経験的に「6」が「出やすい」さいころなのだ。と判断していることになります。これを、数式で表したものがベイズの定理です。