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スポーツデータアナリティクス基礎講座 -反省・感じたこと-

スポーツデータアナリティクス基礎講座

先日のブログで、紹介したスポーツアナリティクス基礎講座に7/27(日)に登壇させていただきました。
【セミナー情報】スポーツ統計学の講座に登壇します - Data Science by R and Python
URL : 7月27日 第1回 スポーツデータアナリティクス基礎講座


当日は、200人ほど参加者の方が会場にいらっしゃっていました。発表したテーマは「傾向スコアを適用した因果効果の検証~データスタジアム提供プロ野球記録データに基づくバント効果の推定~」です。

20140727_第1回スポーツデータアナリティクス基礎講座

感想

感想を率直に述べると、緊張しました。イベントなどで前に立つときとは違って、来ている方はほとんどが社会人で、統計学に少なからず知識のある方ばかり。どんな指摘が飛んでくるのかびくびくしながら発表させていただきました。発表は前半・後半に分かれていて、前半は後輩が選択バイアスの考え方・傾向スコアや推定量についてお話しして、後半は僕が解析を担当したのでその部分をお話しました。

それにしても「傾向スコア」って注目を集めているみたいですね。僕も、実際に当日会場で話を聞くまであまり知らなかったのですが、マーケティングなどの現場で活用しようとされている方、医療系の方が検査の選択バイアスの補正に使うなどいろんな応用方面が考えられているとか。ですが、数学的にややこしくて理解が追いつかないということで、今回話を聞いて理解しようというモチベーションの方が多くいらっしゃったようです。僕らの発表は、少しでも役立ったのでしょうか...

もし、理解できなかった、もっとここは話してほしかったなど意見・フィードバックがあればいただければ私たちの勉強にもなるので、よろしくお願いします。

振り返って(個人的なところ)

今回の発表は6月からの準備で、約1ヶ月半ほどで発表というスケジュールでした。僕の解析で必要だったのは、過分散に対応するモデル構築、疑似尤度、一般化加法モデルで、1ヶ月半で人に説明できるようになるというのは、かなり負荷が大きかったです。それに加えて、研究もあったので、どっち付かずにならないかなとかなり心配もありました(結局、最終的に研究を止めることになりました笑...)。

あと、やっぱり「自分で理解すればいいや」というのと「人に伝えられるように理解する」のは違うなと思います。後輩が終わった後に言ってたことですが、”「発表する」と「伝える」は1ランク違う”ということを強く感じましたし、僕は「伝える」ってことを特に大事にしたいと感じた1ヶ月でした。やっぱり「わかった!」と言ってもらうのはとっても嬉しいことです。

それから、どうしても「伝えること」はアカデミックにいると身に付かないスキルでもあると思うんです。特に、僕たち数学・統計の専攻の人は「専門外」の人に伝えるのがことのほか苦手です。ある意味、井の中の蛙で、好きな人同士集まってるから阿吽の呼吸で理解し合えてしまったり、数式で会話できる。でも、一歩外界に出てしまえば、極端に言えば、数式を見るだけでめまいを起こす人もいるし、知らない言葉に拒否反応を引き起こす人もいる。

人が変われば発表を変えなくてはいけない。伝えたいなら、まず相手を知らなければいけない。これは、僕が大学時代に留年までして理工学部の外に出て学んだ考え方です。なので、今回の発表でも、できる限り数式を削った発表をしました。でも、やっぱり納得できるかと言われるともっとできるところはあったんじゃないかと思いますし、まだまだ考えにスキルが追いついていないなと反省しています。

次はもっとわかりやすく、伝わる発表を目指したいです。

最後に...

アカデミックな内容を、こうして一般の人に聞いていただける機会をいただけたのは僕にとっても始めての機会で緊張がありつつ、楽しくもありました。嬉しかったことと言えば、自分とは違う世界の人と交わることができたこと。それから、質疑応答やその後でいただいた意見で、確かにそういう点は考慮できてなかったと感じれたことや、こういうデータが得られれば解析は変わりますか?とかアイデアをいただけたことです。
現場感と敢えて言ってしまいますが、とにかくデータ解析だけではダメなんだと思いました。現場で感じていること、アイデアをフィードバックしていただくことで、データと現場感覚を合わせていくことではじめて解析に鋭さが生まれるということを実感できたイベントだったんじゃないかなと思っています。

長々と書いてしまいましたが、改めてお越しいただいた皆様、ありがとうございました。